『原発立地を断念させた町・シロウオ』

食べていくには仕方ない。

産業がないのだから、誘致もいいじゃないか・・・

 

そうやって地方が原発を受け入れ、

またそれ以外には生き残る道がないじゃないか、

と、まるで反原発は理想論のように語られてきた。

受け入れ拒否など不可能かのように。

 

ところが、30年以上前、

全国で34箇所もの地方が

その危険性を認知し、

断固として受け入れ拒否をして

勝利を勝ち取った事実を知る

日本人は少ないと思う。

 

この当事者たちを撮影した映画を

高円寺にて鑑賞してきた。

監督のかさこさんとは、

三度ほど面識があり、

彼の言行一致の姿勢には

以前から興味と敬意を表してきた。

 

立地拒否を勝ち取った

数ある市町村の中から、

映画は二つの町にスポットを当てる。

 

同じ海を挟む

徳島県椿町と和歌山県日高町の

漁師さんや農夫、民宿経営者など

その土地を愛し、地に足を着けた

暮らしを続けてきた人々の

生命の尊厳の声を映し出す。

 

「いくら金を積まれたって

 広い道路ができたって

 人が住めなくなったら

 どうしようもない」

 

「孫子の代まで、

 この美しい自然と土地を

 残していくのが、私達の役目」

 

美しい里山の風景の中で

語る住民の言葉には重みがあった。

 

誰かのせいではなく、

その道を選択し、容認した責任は

私達一人ひとりにある。

 

上映後、監督が話された

下記の言葉に

とても共感した。

 

原発反対、放射能被害を

ただ叫んでも、再稼動容認派には

届かない。

もっと、具体的な提案によって

原発の不条理を示すべきではないか。

 

一つは、経済損失。

先の廃炉費用倍増に加え、補償問題など

安価どころか、原発ほど費用がかさむ

エネルギーはないという事。

 

もう一つは、人口減少。

日本は13年後、1300万人減、

50年後に4000万人減という

統計があるのに、あえて再稼動するほど

エネルギーは必要になってくるのかという事。

 

盲目的な原発必要論ではなく、

感情的な廃止論でもなく、

冷静かつ極く当たり前な

視点で、原発廃止を訴える映画「シロウオ」。

 

次回上映は、1月9日、東京都

武蔵境駅近くで行われます。

詳細は、かさこさんのHPにてご確認ください。

多くの方に、観て感じていただきたい映画です。