近年、パワースポットとしても名高い
秩父の三峰神社。
甲府から70キロと
それほど遠くないことを知り
一路、雁坂峠を越えて参拝に行った。
海抜1100m、
雲取・白岩・妙法の三つの峰が
秀でているところから命名され、
イザナギ・イザナミを祭神として祀る
日本創生の霊山である。
ご眷属の狼は「お犬さま」といわれ
古来より、害獣除け・火伏せ・盗難除けの効験あり、
現在でも「ご眷属を借りる」と称して
その御神威に預かる方々が多いそうだ。
全国各地に講社(信者団体)があり、
なかでも茨城はその信奉者が多い。
隣県でもないのに、どういう訳か
知らないが、今回初めて参拝した私も
魅了されたので、何か茨城人を惹きつける雰囲気があるのだと思う。
神仏混淆の江戸時代まで、
この御山も密教や修験の僧侶が
護持管理していたそうで、
博物館には興味深い資料や仏像が
陳列されていた。
日本狼の剥製展示も見事であったが、
仏像や当時の儀式日程、信者の書き物などが
興味深かった。
今では陳列棚に安置されている
不動明王像や役行者二鬼像も
いにしえには、この像を前にして護摩を焚き
万巻の経を唱え、多くの僧侶や信者が
手を合わせ額づいていた。
その尊顔を見ると、眼光鋭く
今でも魂が抜けていないのではないか、
とさえ感じる。
インドでガネーシャという人気の神様は
日本で歓喜天または聖天と呼ばれ
霊験あらたか、現罰てきめんという
強力な神様である。
そのため、多くの像は秘仏として
やたら滅多ら人目にさらさないのが
常なのだが、
こちらの陳列棚では
御厨子をあけっぴろげで
二体も公開してあった。
「魂を抜いてあるとはいえ
こんなに晒して大丈夫?」
と、余計な心配をしてしまった。
どの博物館でもそうだが、
信仰の対象として祀られてきた仏像には、
供花や香を供えて展示するなど、
それ相応の作法があってしかるべきでは?
と個人的に思う。
それはともかく、関東の深山に
このような霊地が2千年近く
尊ばれてきたことを有難く思い、
御礼として、法華経を唱えながら
境内を失礼した。
コメントをお書きください