山の夜祭

夕方、山梨県韮崎市の

国道20号沿いを運転していたら

田園風景に提灯の長い列が。


『日本むかし話』のような風景に

胸踊り、思わずパシャリ。

近くにいたおじさんに訊ねたら

道祖神様のお祭りだとの事。


山の中腹に目をこらすと

鳥居があって、そこから提灯が

下へ下へと延びている。

祭り会場の入り口に設置された

雪洞には、

「祝 景観登録記念物」

と書かれてある。

まさにこの景観は

「残したい日本の風景」。


地蔵盆(8月24日)に

合わせての村祭りだろうか?

山裾の前を流れる釜無川は

かつて洪水氾濫を繰り返し

多数の人々を飲み込んだ。

その慰霊と、地域の守護を願う

意味合いもあるのだろうか?


山梨県は路傍の至るところに

丸い石球をご神体とする

道祖神様を祭祀しており、

地域の守り神として篤く尊ばれている。

余談だが、インドのヒンズー教寺院では

シバリンガといって、シンボリックな石のご神体に

牛乳をかけたり花を供えたりして篤く信仰している。


手間隙かかり、何かと面倒な事もあるだろう

こうした祭りを長年、何世代にも亘って

続けてこられた地域の方々に敬意を表したい。


山に鎮座まします道祖神様という

何か大きな存在を中心に

人々が協働し関わりを交える。

神様との宴と称して

酒を酌み交わし、ご馳走を頬張る。

そこにはスマホが敵わない

感情と人情の露出がある。



何かと物騒な昨今だからこそ、

こうした祭祀を縁としての

人のつながりに救いが見えてくる。


夏の終わりに、

心がほっこりする風景を見せて頂いた。