祝祷会と初施餓鬼

新年初の祝祷法要を身延・久遠道場にて

開催しました。

ご縁の方々からお送り頂いたお供物を

御宝前にお供えし、お経とお題目様を

お唱えして新年をお祝いしました。

今年も皆様のご多幸と世界の平和を

心よりご祈念申し上げました。


同日、深夜1時からは新年初の

施餓鬼供養を一人で営みました。

施餓鬼(せがき)とは死後、

餓鬼の身となって飢えている様々な霊に

読経と供物の供養を捧げる儀式です。


施餓鬼には古来より詳細な決まりごとがあり

厳密に則って行われます。


子丑の刻、深夜一時頃に行う理由は

餓鬼や鬼神が勢力を増す時間だからです。


ご飯や水、お茶、菓子・果物なども

腹一杯食べてもらえるよう、沢山供えます。

餓鬼は、痩せ細り喉が細くなっているので

飲み込みやすいように、細かく砕いて供えます。


餓鬼に供えた供物は、米一粒も持ち帰ることを

許さず、川に流したり、山に埋めたりします。


深夜の身延川に出向いて、一人静かに供養を

行うのですが、餓鬼が集まってきそうな

何ともいえない雰囲気を感じます。


歴史ある身延山は、全国から供養を求める

多くの御霊が集まる場でありますし、

かつてハンセン氏病の患者さん達が暮らし

亡くなっていった場所でもあります。

また近隣には遊郭もあったそうで、

そこで亡くなった芸妓さん達も多くいた事でしょう。

その方達への供養、大震災で亡くなられた多くの御霊、

動植物の御霊、世界中の万霊へ向けて

供養を行いました。


最近、施餓鬼供養の大切さを

改めて実感しており、身延での供養も

昨年一緒に修行したM上人の提案により

実行に移した次第です。


施餓鬼供養を行うと、場の雰囲気も

落ち着き、整っていく感覚があります。

飢えた餓鬼が満足して下さった安堵感を覚えます。

毎月、行っていく予定です。


正直、手間と眠気と寒さに

億劫がりそうな供養ですが、

坊さんの役目というのは

こういう目に見えない、

人様の陰になって勤めていくところに

意味があるのかな、と

供え物を作りながら思った次第です。