日本山妙法寺の御上人様が
久遠道場に宿泊されました。
Mお上人様とは、10年以上
親しくお付き合いさせていただき、
師匠のような、父親のような、法友のような、
そんな仏縁をいただいております。
Mお上人様は昨年、交通事故に遭い
片足を切断されるという苦難を
経験されました。
その後、数ヶ月の入院と
リハビリによって義足をつければ
歩行が可能になり、今回
事故後、初の御廟所参詣と
なったのです。
東京から身延線に揺られて
身延駅に着くまで、一つの
思いがあったそうです。
日蓮大聖人様は、何事もなく
私を身延に迎え入れて下さるだろうか、と。
義足を装着し、杖をつきながら
Mお上人様は、御廟所への参道を
踏みしめるように歩いて行かれました。
いつものように、砂利の上へマットを敷いて
三人で1時間ほど、唱題行をお勤めいたしました。
今にも降り出しそうな曇り空でしたが、
最後まで雨粒は落ちず、かえって涼しい風がそよぎ
とても心地よくお勤めを終了する事が叶いました。
夕勤後、せっかく山梨にいらしたのだから
近くの温泉にでも、とお誘いしました。
事故後、初めての温泉でもあり
公衆浴場にチャレンジしてみたいお気持ちも
あったそうですが、周りの入浴者への配慮もあり
はじめは躊躇されていました。
けれど、実際に入浴してみると
皆さん、特別な視線も反応もなく
私の肩につかまりながら
洗い場や浴槽に入れば
何も問題はないことが分かり
久々にゆっくりと温泉で養生する事が
できて喜んでおられました。
夕餉を楽しく過ごし、翌朝は
晴れ渡る快晴の中、朝の唱題行を
御廟所にてお勤めいたしました。
あっという間の一時間で
「精霊が歓喜されていた」
と、嬉しそうに仰っていました。
日蓮大聖人様も
Mお上人様と一緒に
お題目様をお唱えになって
おられたことでしょう。
完全復活、いや、それ以上の
進化です。
何よりお顔が艶々されて
いました。
片足を無くされてから
何か変わりましたか?
とお聞きすると
「寿命が10年縮まった気がする。
片足が無いというのは、
それだけエネルギーを消費する」
とお答えになりました。
また、
「本当に大切なもの、ことだけに
意識が絞られるようになった。」
とも仰いました。
お帰りになる道中、
初めて参拝されるという愛宕山の
日本山のお仏舎利塔にて
お題目様をお唱えし、有難いひとときを
過ごさせて頂きました。
「人生に何一つ、無駄なことはない。
良いも悪いもなく、お題目様に導かれるまま
我見多きこの身を、ゆだねていくこと」
机上の空論でなく、経典を文字づらで
分かった振りをすることもなく、
ひたすら真理にそうべく孤軍奮闘されてきた
Mお上人様とお会いして、交流をする度に
静かな感動と深い学びを得ます。
こざかしい人智を離れた
仏縁に深く感謝します。
甲府駅でお題目様を唱えて
お見送りしました。
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